欧米の伴侶動物の教育病院では猫診療のためのスペースが当然のように確保されています。鹿児島大学共同獣医学部では*EAEVEによる獣医学教育認証を目指しており、国際水準の教育施設としてCFC認定を目指すこととなりました。
鹿児島県は猫が身近に存在する土地柄です。薩摩藩主島津家の別邸跡である仙巌園には、我が国でもめずらしい猫を祀った「猫神神社」と呼ばれる神社があります。文禄・慶長の役の際、島津義弘公が時刻を推測するために7頭の猫を帯同して朝鮮半島に出兵しましたが、そのうち帰国できた2頭の猫たちを祀っています。猫神神社の慰霊祭には多くの参拝者が訪れます。このような歴史的背景も手伝い、鹿児島では猫が多く飼育されており、鹿児島大学共同獣医学部附属動物病院を受診する猫の頭数も、他大学と比べて多いようです。
「よりよい獣医療を提供すること」は動物病院に課せられた使命です。ソフトおよびハードの両面から、犬だけではなく猫にも優しい伴侶動物のための病院づくりが必要です。今回のCFC認証取得は、前述の獣医学教育認証という実務的な目的もありますが、二次診療施設を受診される「クライアントさん目線」の動物病院づくりも意識しております。もちろん、現動物病院長が大の猫好きであることは大前提ですが…
*EAEVE・・・European Association of Establishment for Veterinary Educationの略。米国獣医学会(AVMA)のCouncil on Educationと並び獣医学教育の国際認証評価機関としてEUおよび周辺国獣医科大学の認証評価を行っている組織。